LOST OF EDEN -前編-

科学によってもたらされるもの

【新たなる繁栄】

そして

【武力と言う名の狂気】

 

ここに、独りの男がいる

繁栄を生み出し

故に苦悩し

絶望に落ち

狂気に染まった

 

「目覚めたか?」

初めて耳に入ったのは、そんな言葉

 

「おまえは、今より全てを手に入れた」

眼に映ったのは独りの男

 

毛玉のような頭部と

虚ろな瞳

「私は希望を造った」

「そして絶望を知った」

その瞳は

寂しく揺れる

 

様々な光を放つその部屋で

私はいろんな知識と情報を知った。

私は

全てを護るモノ

全てを壊すモノ

 

私は知った

ヒトは愚かだ

 

お互いを憂いながら

お互いを憎み合う

矛盾

 

私は考える

 

【すべてのモノに祝福を】

 

 

月から放たれた【祝福】という名の光

月からのレーザー砲撃である。

皮肉にも、この出来事によって

人類は知る

【今は争う時では無い】

 

そして、あらゆる情報を元に

彼の存在を知る

【Dr.TIME】

彼が首謀者であること

彼の目的が

人類の抹殺であること

 

既に彼との交渉は

不可能であるとの結論に達していた。

残された手段は、ひとつ

【彼の存在の抹消】

 

それは、ある意味不可能とも言える手段である

 

敵の居場所は

遥か空の向こう

【月】

そこへの到着手段である

超高度軌道エレベーター

【バベル】は

彼の勢力下

 

しかし

一つの提案がなされた

残存兵器による陽動攻撃

その間による

バベルへの侵入作戦

 

提案は可決された

その実行部隊の名は

【アームド・アームズ】

隊員それぞれがその身に

高度な兵器を宿す

精鋭である。

人類の存亡を賭けた

反抗作戦の開始

 

アイン・ステルバード

エリノア・ワイゼン

タケル・ヤマト

シャオ・メイ・リン

命運は

僅か4人に託された

 

AM 05:37

元・黒海付近に設営された軍事拠点

残存艦隊による陽動作戦の開始

数千機近い航空兵器による

制空権戦闘

 

これによって失われた兵力

93%

多大なる犠牲に成り立って

バベルへの侵入は成功した。

 

PM 15:00

バベル内部

 

少数であるが故の隠密作戦

時間は食うものの

リスクは少ない

俺たち4人は、誰一人欠けることなく

順調に進んできた

 

今のところは

で、あるが・・・

「どうだ・・・リン?」

スコープを覗くリンに、問いかける

 

「動体反応無し」

振り向き様に、結ばれた黒髪が揺れる

それは馬の尻尾を思わせる

もっとも、そんなことを本人に言える訳はないが

「さて、どうすっかね・・・?」

「とりあえず進んでも問題ないだろう」

俺の問い掛けにタケルが応える

 

あれから10時間余りが経過している

その割に、未だ中腹にも到着はしていなかった

「しかし、ここまで無反応なのも気に掛かりますね」

さすがは名参謀、あくまで慎重だ

 

平均年齢18歳

言うならばまだ子供であるが

このご時世

初陣を飾るには遅いほうだ

とはいえ戦闘訓練は受けている

だからこそ、それぞれが身体に兵器を移植された

【エリート兵器】として投入されたのだが

 

「行くか・・・」

みんなに指示を送る

確かに、相手が無反応なのは気になる

だが、こうしている間にも

外では多くの犠牲が払われているはずなのだ

何より俺たちは人類の命運を背負っている

一刻も早く、この上にいるはずの

悪玉の元へと急がないといけない

なんせ、俺たちはヒーローなのだから

 

しかし、そんな考え方が

俺たちの絶望を知らなかった甘さを

思い知ることになるのだった

 

中編(上)

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