#10「まだ見ぬ処へ」(第一部・最終回)
凄まじい轟音を響かせて、崩れていく遺跡。
脱出口を探して、疾走するベルカ達
「アイン!お前、今までどこ行ってたんや!?」
1人はぐれていたアインを、問いただす
「こっちは、こっちで大変だったんだよ!!」
唄姫を背負い必死についていく
「ハヤブサ様、ベルカとお知り合いだったのですか?」
ツバメもまたハヤブサに問いかける
「ああ此処でな、荒削りだがいい筋をしている」
「ハヤブサ様は、あんな男女の方が、お好みでしたのね・・・」
「・・・は?」
ツバメの呟きに足を止め考える・・・
「!?・・・このハヤブサ、一生の不覚!!」
どうやら、気付いていなかったようだ。
「何やってんのや!?とっとと行くで!!」
ベルカが急かす。
通路を抜けて大広間に出たベルカ達
が、そこには最強の壁が立ちふさがる!!
「グアァァァァァァーーーーーーーー!!」
「こ、こいつは!?」
アインが息を呑む。
「ご、轟竜・・・だと!?」
ハヤブサが呟く
「なぜ、こいつがこんなところに・・・!?」
思わぬ対面に、全員の足が止まる。
「おもろいやないか!ウチが、ぶっ倒したる!!」
ただ1人、嬉々として武器を構えだすベルカ
「無理だって!こいつの強さは半端じゃないぞ!!」
「ウチの強さも、半端ないで!!」
アインが引き止めるも、最早無理のようであった・・・
「時間がないにゃ!急ぐにゃ!!」
案内のアイルーが急かす。
「ここを通るには、やりあう以上にあるまい」
「及ばずながら、手を貸すわ!」
「俺は、向こうで応援してるからー!」
意を決して、戦闘に入るハヤブサ、そしてツバメ
そそくさと、端によるアイン
「一緒に、戦わないにょか?」
「この状態で、何が出来るんだよ?」
唄姫を背負ったアインが言い訳のように言う
「・・・行くで!!」
ベルカの掛け声と共に一斉に挑みかかる
「グォォォォーーーーーン!!」
轟竜の咆哮が洞窟に響き渡る
「おのれ・・・まさか、私の人形が倒されるとは・・・」
肩で息をしながら、地上に落ち延びたヴォルドーが忌々しげに言う
「そこまでよ!ヴォルドー!!」
一呼吸置いて、現れたのはヴォルドーを追いかけてきたあの
<女性ハンター>であった。
「しつこいやつめ!」
「そのセリフ、最早、ただの悪党ね・・・」
やれやれと肩をすくめる。
「ここで、終わるわけにはいかんのだよ!」
言いながら、角笛を吹く。
「まだ、無駄な足掻きを!?」
突然、視界が突風で塞がれる
「くっ、待て!お前の獲物は、あいつだ!!」
上空からの衝撃が大地に走る
「や、やめ・・・・ぐあぁぁぁぁぁ!!?」
何かが、押しつぶされる音、そしてヴォルドーの断末魔
視界が戻ったその眼には、まばゆく光る金色の壁
「こ、これは・・・!?」
ヴォルドーを、その脚に掴みこちらを見つめる一頭の飛竜。
その身体は黄金の鱗に覆われていた。
「黄金竜・・・」
その翼を広げ再び空に飛び立つ、その雄々しき姿は、ただ美しかった
「邪悪な者の、哀れな末路ね・・・」
その場に背を向け歩き出す。
「これで、今回の任務は終わりね」
「でぇぇぇぇい!!」
力任せに大剣を振り下ろす
「グオォォーーーーーーン!!」
「くっ、なんて、タフな奴だ!」
「つ、強い・・・」
いくら、ダメージを与えてもまったく引かない轟竜、
しかし次第に動きが鈍くなってきたのも確かである。
「こいつ・・・なんで、こんなに必死なんや!?」
「痺れ罠を仕掛ける!」
手早く用意を済ませるハヤブサ
「その隙に一気に畳み掛けましょう!!」
「おら!こっち来いやぁ!!」
ベルカが挑発する
「グアァァァーーーー!!」
轟竜が吼え跳躍する
重い一撃を大剣で防ぐ
閃光がほど走り罠が作動する
「ガァァァァァ!!」
「今だ!止めを!!」
一気に斬りかかる
小さな爆発と共に罠が消滅する
「なに!?」
予想しない状況に戦局が一変する
「・・・・!!?」
が、何故かそこから動こうとしない轟竜
「どうやら、瀕死のようだな・・・」
「ガフゥ・・・」
息を荒げてこちらを睨み付ける
「止めを・・・」
言い掛けて言葉を詰まらせるツバメ
「どうした?ツバメ?」
心配そうにハヤブサが肩に手をかける
「・・・せん・・・」
「私には・・・出来ません・・・」
肩を震わせるツバメ
--愛すべきものと生き、子を産み、育てよ・・・--
ツバメの胸に父の言葉が浮かぶ
-それもまた闘いなのだから・・・-
轟竜の背後には、新たに芽生えた小さな命達
小さい声で必死に母親を呼ぶ
そのまま轟竜に背を向けその場から離れる。
それを見てベルカは、満足そうに笑みを浮かべる
轟音と共に崩れ落ちる遺跡
最早それはただの瓦礫の山でしかなかった。
「ぷはぁぁーーーーー!!」
「何とか、無事に出られたな」
「生きて出られたにゃ・・・」
瓦礫の山を背にお互いの無事を喜ぶ。
「あのお方は無事なのか?」
ハヤブサがアイルー達に問う。
「当然にゃ!オイラ達がちゃんとあんにゃいしたんだから!」
「結局、黄金竜なんて伝説に過ぎなかったのかしら・・・?」
ツバメが寂しく呟く
「いや、判らんもんやで?」
大空を仰ぎベルカが言う
その視線の先には、優雅に舞う金色の翼がきらめいていた。
<モンスターハンター・ベルカ>
第一部・完
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設定補足
本来、轟竜と呼ばれるこのモンスターは
<フラヒヤ山脈>と、
呼ばれる山岳地帯に少数の目撃情報があるだけであった
故に姿を見せることは非常に稀であり
その生態を知るものは少ない。
しかしながら
その獰猛たる気性は
対面した者にとって恐るべきものである。
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おまけ
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